養命というのは、命を養い、不老不死の目的を達すことに
を指します。これについて、中国古代でもっとも有名な話は、始皇帝の話です。始皇帝は、初めて中国全土を統一し、最高の権力を手に入れ、この権力を保ち、永遠に万民の上に君臨するため、できる限り自分の寿命を長く延
ばし、不老不死を望んでいました。彼は膨大な費用をつぎ込み、徐福に長寿の仙薬を探すよう命じました。しかし、結局、徐福は日本に逃げ、始皇帝は50才の若さでなくなり、長寿の願い
は叶いませんでした。
不老不死のクスリはありませんが、体に滋養を与え、元気にさせるクスリや食物を中国は古代からたくさん発見しています。それが、漢方薬の由来になっているのです。
二千数百年以来、数え切れないほどの漢方医、道教の人が研究と実験を重ね、多くの滋養薬の処方ができ、その一部は中国歴代の宮廷に秘蔵され、皇帝や皇族の健康、長寿の為に使われていました。
中国宮廷養命秘方の代表的な物は、元代の宮廷太医忽思慧の「飲膳正要」と言う著作です。この著作はずっと元の宮廷に秘蔵され、一切公表
されませんでした。元が滅びると、原本は明の宮廷に収蔵されますが、さらに八十八年を経て、やっと明の七代目の皇帝の許しを得
て、印刷されることになったのです。
この著作は、食養、薬膳の集大成であり、多くの処方と調理法が記録され、また、治療効果と適応の病状も掲載されています。
今日の中国では、各地で、「飲膳正要」により作られた料理や薬膳が売られています。忽思慧本人も中国の薬膳の元祖と尊ばれています。
ここに、二つの処方を紹介しましょう。
(一)鯉魚湯(鯉スープ)
鯉 一匹
小豆 一合
陳皮 二銭
胡椒 二銭
草果 二銭
薬用効果:消渇(現在の糖尿病相当)、浮腫、黄疸、脚気
上記の五味を併せて煮て、空腹の時食べます。
(二)山薬湯(ヤマイモスープ)
ヤマイモ 一斤(煮て熟す)
アワ 半ます(炒めて粉にする)
杏仁 一斤(炒めて熟し、皮を取り、米の大きさに切る)
以上のアワ、杏仁を各二銭、ヤマイモを任意の量、白湯にいれ、空腹の時に飲みます。
薬用効果:元気をつけ、虚を補い、肺に潤いを与える
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