易食研究所

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日本易食研究所 主宰      

◇食べ物への考察◇

 

野菜はなぜ不人気か
(01/27)


 1月26日、農林水産省は「平成16年食品ロス統計調査(外食産業調査)結果の概要=食堂、レストランにおける昼食時の食べ残し状況」を発表した。
http://www.maff.go.jp/toukei/sokuhou/data/loss2004/loss2004.htm
 食べ残し量の全体的な状況を見ると、割合は3.3%で、平成15年を0.3ポイント下回った。食品類別に見ると、野菜は4.9%と他の食品に比べて高くなっている。また、主な調理品別に見ると、野菜の漬け物が11.6%と最も高く、続いて野菜のゆでものが6.7%で、野菜のサラダが6.2%となっている。
 生活習慣病が急速に増え、ガン、糖尿、心血管疾患などの病気が我々の生命を脅かす現代社会は、食生活に問題がある、と多くの専門家が指摘し、野菜が健康によいという認識は世の中に広く普及しているにもかかわらず、野菜の人気がないのはなぜだろう。
 この調査をよく分析すると、野菜の食べ残しの割合が高い原因は、野菜自身の不人気ではなく、食堂、レストランの野菜料理がまずく、変化がないためではないかという考えが浮かぶ。 なぜならば、残した野菜の類別では、野菜漬け物が最も高いのである。漬け物は、昔から日本食にとって必要不可欠な物である。それは、新鮮食材の保存が難しい時代に対応した発想と考えられる。また、貧しかった時代に他の料理に手が及ばないというのも原因であろう。野菜の漬け物は、野菜の栄養素が破壊され、塩分が高く、健康によくないというイメージもある。
 昭和時代、日本人の胃ガンの死亡率は悪性腫瘍の中で最も高く、この原因は、塩分の取り過ぎだと指摘された。漬け物はそのうちの一因だろう。そのため、薄味の漬け物が現れた。
 時代が変わって、新鮮な野菜がいつでも手に入るようになり、しかも簡単に保存ができる現代、漬け物離れが起きていることは間違いない。
 日本料理の定食では、漬け物(もちろんうすあじの漬け物)が、他の料理と合うかどうか関係なく、ほとんど出されていてる。もし、料理が濃い味、或いは油が多い場合、こういう料理を食べた後に、うすあじの漬け物を口に入れると、さっばりした感じがする。しかし、もともとうすあじの日本料理であれば、漬け物の存在感が薄くなり、残されてしまうだろう。また、毎日漬け物を食べる必要はないとも考えられる。
 次はゆで野菜である。ゆで野菜は、まず、変化が少ない。ゆで野菜は、野菜の種別ではホウレンソウが最も多い。しかし、ゆでた野菜は味がなく、醤油をつけて食べると、まずいのは当たり前である。また、色はきれいだが、栄養分が多く失われていることも事実である。
 野菜サラダも、キャベツ、レタス、ニンジンなどが多く、味がないだけでなく、切って置いた時間が長くなると、栄養分がたくさん損失することになる。たまに食べるのはよいが、毎日食べると、飽きるのも理解できる。
 日本料理、西洋料理、東洋料理にかかわらず、調理時間の短縮などのさまざまな原因で、多くのレストランは野菜を飾り物としてしか使わず、あるいは栄養が多いという謳い文句で、生で使うことが多いが、使用する野菜の種類もわずかで、調理に手抜きをしている。
 この報告は、野菜が客に不人気なのではなく、客の店の手抜きに対する無言の反発である。もし美味しく作られた野菜であれば、食べ残したらもったいないと思い、客は全部自分の口に送るだろう。

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